海について各々は好きに行動する。
泳いだり、カニを取ったり、フジツボを眺めていたり、ビーチバレーをしていたり。
そんな光景を少し離れた場所から眺める見知らぬウキワを抱えた男がひとり。
ウトはそれに気づき、近寄ってきた。と言うか、話しかけてきた。
「こんにちはー」
「あ、こんにちは。ウトさん」
「あなたは誰ですか?」
「あれ?初めましてでしたっけ?」
「ですね」
男はコホンとひとつ咳払い。
「初めまして、暁さんたちがいるシェアハウスの管理人、もといマスターのユウです」
「ユウ・・・さんですか」
「はい、よろしくお願いします」
「面白い名前ですね」
「ん?」
「だからノイジちゃんがいたのですね~」
「・・・何のことでしょうか?」
「いやー、ちょっと順番違うっていうか、導入が遅すぎたんじゃないですか?今更そんなマスターと言うキャラを作って受肉しても・・・ねえ?」
「メタ発言はやめていただきたい」
「まあでも受肉おめでとうございます?きっと物語の都合上の監視なのでしょうけど、大丈夫ですよ。みんな、元気です」
「・・・それはよかった」
2人が話していると、ユウを呼ぶ声が聞こえる。
☆(ゝω・)「ユウさんも一緒に貝殻探すのです!」
(-ω-)「・・・潜水」
複数人に呼ばれているユウの姿を見て、少しウトの顔は厳しくなる。
「・・・ユウ、と言う存在は、もうお決まりのキャラとして定着しているんですね」
「・・・・・・まさかあなたも花だったとは」
「この世界の設定変更影響を受けないイレギュラーをそういうのですか?」
「せめてアップデートと言っていただきたい」
「そうなると、この世界は何たるかが確定されますが」
「・・・・・・あ」
「アップデートだと、確定されますが?」
「・・・設定変更でいいです」
「てことはここはそういう世界ではないと、推測が1つ潰れましたね」
笑顔でそんな事を語るウトに、ユウはたじろいでいる。
「まあ、今は楽しみましょう。このイベントを。あなたも一緒に、ね?」
「・・・はい、僕も楽しみですウトさん」
「あなたの本性を知っていると面白いですね~、そのキャラクター」
「こちらで遊ぶのはやめていただきたい」
「は~い」
2人は、呼び声のするほうに向かって走り出した。